自作小説『スキルマジック』16
「『イチハ』と『ひとは』って大して変わらないじゃないか」
「まあ、そうじゃな」
まさかあのまま殺されるとは思っていなかった。向こうの茂みには血溜まりが出来ている。が、その血も綺麗サッパリ消えてしまう。
(さっきの死んだときの感覚……なんか嫌いだ。)
「それにしても、ひと……イチハの加護は凄いな」
「私のなんか序の口じゃ。二人はもっと凄まじい」
「まじかよ」
今度は視線を和也に向ける。
「俺のゲーム名はカズ。クラスは、『守護者』(ガーディアン)。種族は後ろの羽を見れば分かるだろうが妖精。加護は刃ブレード」
「【刃】(ブレード)? 何だそれは」
「ここで見せるわけにゃいかない」
「なんでだよ?」
「俺の加護は範囲が広い。だから教会とか壊しかねない。別の機会にな」
きっと、和也も聞く限り凄まじい加護なんだろうな。うん。
「って、ゲーム名全然変わってないじゃないか」
「良い名前思いつかなくて」
「呼びやすいから別に良いんだけどな」
「じゃあ。最後、沙織の加護は?」
猫の耳をピコピコさせている沙織に話を振る。
「私のゲーム名はサユリ。私の種族は獣人。クラスは『戦士』(バーサーカー)。加護は【流星群】(メテオライト)。これも範囲が広いから此処じゃ街が壊れちゃう」
「街が!?」
なんて加護だ。
「そうじゃ、迷宮にでも入らんか?」
「そこでなら、二人の加護もみれるのか?」
「うん!」
俺達は迷宮へと向かった。